休日に外出していても、休みの日に、会社の人とばったり会いたくない。
そう思ったことはありませんか。
別に、その人が嫌いなわけではない。
職場では普通に話す、いい人だとも思っている。
それでも、スーパーや駅、出かけた先で見かけると、とっさに避けたくなってしまうことがある。
私も、そんなことがあった。
スーパーで、カートを押して買い物をしているときだった。
通路の少し先に、見覚えのある後ろ姿があった。
会社の人だ。
とっさに、隣にいた彼氏に小声でお願いした。
「会社の人いるから、ちょっとの間、他人のふりして」
自分で言っておきながら、変なお願いだと思った。
でも彼は、それ以上何も聞かなかった。
同じように会社で働いているからなのか、すっと察してくれたようだった。
そこからは、カートをそっと別の通路に向けて、棚の陰に隠れるように歩いた。
ただ、気づかれませんように。
それだけを思っていた。
会社の人が嫌いなわけではない
別に、その人が嫌いなわけではない。
職場ではふつうに話す、いい人だとも思っている。
だからこそ、自分でも少し面倒くさいなと思う。
嫌いな人なら、会いたくない理由も分かりやすい。
でも、そうではない。
嫌いではないのに、休みの日にばったり会うとなると、どうしても避けたくなる。
そもそも買い物に行くときも、なるべく会社の人に会わなさそうな、少し離れた店まで行くようにしている。
それでも、こうして会ってしまう日がある。
どこまで行っても、完全には逃げきれないんだなと思う。
休みの日まで、仕事の顔をしたくない
たぶん、会社にいる自分と、普段の自分は少し違う。
職場では、表情を作る。
声のトーンを整える。
失礼がないように、余計なことを言わないように、相手に合わせて話す。
それは仕事をする上で必要なことだと思う。
でも、休みの日まで、その顔をしたいわけではない。
プライベートの時間は、ようやく力を抜ける時間だ。
仕事の気配が、ここまでは届かない。
そう思える場所だから、できれば守っておきたい。
それなのに偶然会ってしまうと、その境目が一瞬で溶ける。
さっきまで休んでいたのに、急に表情を作って、声を整えて、また気を張り直さなければいけない気がしてしまう。
カートの中身を見られたくないとか、服装を見られたくないとか、そういうことだけではない。
その場で「会社の人に会った自分」に戻らなければいけないのが、少ししんどいのだと思う。
大切な人といるときは、なおさら気まずい
いちばん会いたくないのは、お互いが誰か大切な人といるときだ。
こちらは彼氏といて、向こうも家族や恋人といる。
普段は交わらない二つの世界が、急に同じ場所でぶつかる。
紹介するのも気まずい。
紹介されるのも気まずい。
何より、そのあと会社で顔を合わせたときに、それが話題になるかもしれない。
「昨日、一緒にいた人って彼氏?」
そう聞かれることを想像するだけで、少し身構えてしまう。
そっとしておきたかった時間が、職場の確認になってしまう。
それが嫌なのだと思う。
避けたくなるのは、冷たいからではない
でも、これは冷たいからではない。
会社の人を嫌っているからでもない。
仕事の届かない時間を、自分のために少し守りたいだけだ。
人には、仕事の顔をしなくていい時間が必要だ。
誰にも気をつかわず、ただ買い物をして、ただ帰る。
そういう何でもない時間が、意外と大事だったりする。
スーパーの外の空気を吸ったとき、ふっと肩の力が抜けた。
ああ、気をつかわなくていい時間って、自分にはちゃんと必要なんだなと思った。
だから、もし休みの日に会社の人を見かけて、思わず避けたくなることがあっても、それは、わがままでも、冷たいことでもない。
ばったり目が合ってしまったら、「あ、どうも」と軽く会釈して、それで終わりでいい。
無理に立ち話をしなくていい。
全部きちんと応えようとしなくていい。
自分の時間を守ることは、人を嫌うこととは違う。
休みの日くらい、仕事の自分でいなくていい。
そう思える時間を、自分のために少し残しておく。
それくらいは、あっていい。