辞めたい、という気持ちはある。
でも、辞めたあとの自分が想像できない。
次の仕事が決まっていないから、というのもある。
でもそれだけじゃない。
辞めたあとの自分の姿が、どうしても浮かんでこない。
「辞めてどうするの」に答えられない
辞めたいと誰かに話すと、だいたい聞かれる。
「辞めてどうするの?」
次は決まっているのか。
やりたいことがあるのか。
生活はどうするのか。
そう聞かれると、言葉が止まる。
何も決まっていない。
やりたいこともない。
ただ、今の職場を離れたいだけだ。
でもそれだけでは、答えにならない気がする。
だから、辞めると言い出せない。
辞めたい気持ちははっきりある。
でも、その先が見えないから、
「辞めます」という言葉が、最後まで出てこない。
朝、何時に起きるのか分からない
辞めたあとの朝を想像しようとすると、
何も浮かんでこない。
今は、決まった時間に起きる。
決まった時間に家を出る。
決まった場所に行く。
しんどいけれど、それが毎日の形になっている。
辞めたら、その形がなくなる。
朝、何時に起きればいいのか。
どこに行けばいいのか。
何をすればいいのか。
自由になると聞こえるかもしれないけれど、
その自由が、怖い。
やることがない平日が続いたとき、
自分がどうなるのか、見当がつかない。
部屋にひとりでいる昼間。
どこにも行く場所がない午後。
その時間を、どうやって過ごすのか。
想像しようとすると、少し息が詰まる。
「肩書き」がなくなる怖さ
「お仕事は何をされていますか?」
そう聞かれたとき、今は答えられる。
会社名がある。
職種がある。
でも辞めたら、それがなくなる。
「今は無職で」
「転職活動中で」
その言葉が、すんなり出てくる気がしない。
仕事が自分の一部になっていた。
会社に属していることで、自分の輪郭が保たれていた。
辞めたら、その輪郭が崩れる気がする。
周りに、何と説明するのか
辞めたとして、周りに何と話すのか。
友人に聞かれたとき。
親に報告するとき。
久しぶりに会う人に近況を話すとき。
「仕事辞めました」と言ったあと、
「で、今は何してるの?」と必ず聞かれる。
そのとき、何と答えるのか。
「転職活動中です」と言えればまだいい。
でも、次が全然決まっていなかったら。
その会話を想像すると、
なんとなく辞めることをためらってしまう。
辞めることより、辞めたあとの説明の方が、
先に怖くなってしまうことがある。
辞めた人が羨ましいのに、自分とつながらない
辞めた人の話を聞くと、
「辞めてよかった」という言葉が出てくることがある。
羨ましい。
自分もそうなれたらと思う。
でも、自分がそうなっている場面が、浮かんでこない。
その人たちと自分が、つながらない。
同じように辞められるのかどうか。
辞めたあとに自分がどうなるのか。
想像しようとすると、画面が真っ白になる。
本当は、辞めたあとの自分が怖い
お金の心配もある。
次が決まるかどうかの不安もある。
でも、それだけじゃない気がする。
本当は、辞めたあとに時間ができたとき、
自分が何をしたいのか分からないことが怖い。
仕事に追われているうちは、考えなくていい。
今日何をすべきか、明日何があるかが決まっている。
でも、その予定がなくなったとき、
自分の中に何が残るのか。
やりたいことが見つかればいい。
でも、見つからなかったら。
何もない自分と向き合うことになる。
そこが、一番怖いのかもしれない。
辞めたあとに後悔したら、という怖さ
辞めてみて、思っていたより辛かったら。
転職活動が長引いて、お金が底をついたら。
次の職場が、今より悪かったら。
そう思うと、踏み出せない。
辞めることへの後悔は、辞めてみないと分からない。
でも、辞めてからでは取り返せないこともある。
だから、動けない。
ただ、今のままでいることへの後悔も、
じわじわ積み重なっていく。
辞めたあとの自分が想像できないからといって、
今のしんどさが軽くなるわけではない。
まだ答えは出ていない。
でも、想像できない未来より、
もう耐えきれない今の方が、少しずつ重くなってきている。