転職したい、という気持ちはある。
でも、言い出せない。
辞めると言ったとき、引き止められるのが怖い。
何を言われるか、だいたい想像できる
「今は人が足りないから、もう少し待ってほしい」
「君がいないと困る」
「せめてあのプロジェクトが終わるまで」
実際に言われたわけではない。
でも、だいたい想像できる。
そしてその言葉を想像するだけで、
辞めると言い出せなくなる。
引き止められると、断れない気がする
引き止められたとき、
「それでも辞めます」と言い切れる自信がない。
申し訳ない気持ちが出てくる。
「もう少しだけ」と思ってしまう。
そのまま流されてしまう気がする。
だから、最初から言わない方がいいと思ってしまう。
言わなければ、引き止められない。
引き止められなければ、断る必要もない。
そうやって、言い出せないまま時間が過ぎていく。
「君がいないと困る」は、本当か
引き止めの言葉の中で一番重いのが、
「君がいないと困る」という言葉だと思う。
言われたら、嬉しい気持ちもある。
必要とされているんだ、と思う。
でも少し冷静に考えると、
自分がいなくなったあとも、会社は何とか回っていく。
辞めた人の分を誰かが担って、
新しい人が入って、
また普通に動いていく。
「君がいないと困る」は本当かもしれない。
でも、それは「だから辞めてはいけない」という意味ではない。
その場では、そう思えなくなるけれど。
引き止められて、残った人の話
引き止められて、残ることにした。
給料を少し上げてもらえた。
ポジションが変わると言われた。
「環境を改善する」と約束してもらった。
でも半年後、あまり変わっていなかった。
あのとき辞めていれば、と思う。
引き止められて残っても、
辞めたかった理由が消えるわけではない。
ただ、辞めるタイミングを先送りにしただけだった。
辞めることは、相談ではなく報告
「少し相談があるのですが」と切り出すと、
相手は「相談」として受け取る。
相談なら、引き止めていい。
アドバイスをしていい。
「もう少し考えてみては」と言っていい。
でも、辞めることはすでに決めた話だ。
「退職したいと思っているのですが」ではなく、
「○月末で退職させていただきます」
最初から報告として伝える。
そうすると、引き止めの入る余地が少し小さくなる。
簡単ではないけれど、
言葉の入口を変えるだけで、
その場の空気が少し変わることがある。
引き止めを断るのは、冷たいことではない
引き止められたとき、断ることに罪悪感がある。
お世話になったから。
仕事を覚えさせてもらったから。
チームに迷惑をかけたくないから。
そういう気持ちは自然だと思う。
でも、引き止めを断ることは、冷たいことではない。
会社は組織として動いている。
誰かが辞めることも、最初から想定の範囲内だ。
迷惑をかけることへの申し訳なさと、
自分のキャリアを決める権利は、別の話だ。
その場の空気に、飲まれないために
よく考えると、引き止められること自体が怖いのではなく、
その場の空気に飲まれてしまうことが怖いのかもしれない。
上司に呼ばれて、向かい合って座って、
「もう少し待ってほしい」と言われる。
そのとき「それでも辞めます」と言える気がしない。
だから言い出す前に、一言だけ決めておく。
「気持ちは変わりません」
「決めたことなので」
「ご迷惑をおかけしますが、退職させてください」
長く説明しなくていい。
理由を細かく話す必要もない。
引き止めに対して、一言だけ持っておく。
それだけで、少し前に進める気がする。